古い実家は貸せる家になる?|賃貸化リフォームで優先すべきポイント

古い実家は貸せる家になる?|賃貸化リフォームで優先すべきポイント

古い実家を賃貸として活用するとき、悩みやすいのが「どこまで直すべきか」という部分です。
全部を新しくすればいいわけではありません。逆に、見た目だけ整えても、あとで不具合や管理負担が増えてしまうケースもあります。
大切なのは、入居者にとって「安心して暮らせそう」と感じられること。そして、オーナー側も無理なく維持管理できる状態に整えることです。
今回は、古い実家を貸せる家として活かすために、優先して確認したい場所、お金をかけた方がいい部分、逆に無理に手を入れなくてもいい部分を、現場目線で整理していきます。

古い実家で最初に見るのは、クロスより見えない部分

前編では、「貸す・残す・売る」を判断する前に、まず今の家の状態を知ることが大切だという話をしました。

→「相続した空き家をどうする? 貸す・残す・売るを見極めるポイント」

そのうえで実際に貸す方向で考え始めると、次に出てくるのが「どこまで直すべきか」という問題です。
古い家を貸すとき、最初に見るべきなのはクロスの色ではありません。むしろ大事なのは、床下や屋根、排水、換気の状態です。
実際、内装をきれいにしても、玄関を開けた瞬間にカビ臭さや排水のにおいがあると、その時点で内見の空気が変わります。
入居者は、「なんとなく住みにくそうだ」という感覚で判断することも少なくありません。たまに芳香剤で必死にごまかそうとしている物件もありますが、あれは逆効果です。何かを隠しているように感じられてしまうことがあります。
ごまかすより先に、床下や換気の状態を整えること。そうした地味な部分の確認が、結果的には長く安定して貸すことにつながります。

🔍ヤマコーワンポイントアドバイス
雨上がりの日に家を見ると、湿気の状態が分かりやすいことがあります。床下の空気感やにおいは、写真ではなかなか分かりません。

雨漏りや床下配管など建物状態を点検しているイラスト

室内より先に見られているのは、外まわり

入居者は、玄関を開ける前から物件を見ています。
雑草の伸び方。ポストの状態。外灯の明るさ。玄関まわりの暗さ。そういう部分で、「ちゃんと管理されている家か」を無意識に判断しています。
逆に言うと、古い家でも、外まわりが整っているだけで印象はかなり変わります。
たとえば、玄関ポーチのクモの巣を払うだけでも、「放置された家」から、「誰かが気にかけている家」に見え方が変わります。
特に夜は、玄関まわりの暗さや外灯の状態で、防犯面への印象も変わりやすいです。
築年数そのものより、「管理されていない印象」の方が、入居者には強く伝わります。

玄関ポーチ・ポスト・外灯・植栽を整えた外構まわりの画像

古いことより、今の暮らしに合わない方が不便になる

築年数そのものを気にしない人は増えています。
ただ、今の生活感覚に合っていないと、一気に「住みにくそう」という印象になります。
例えば、枕元でスマホが充電できない。Wi-Fiルーターの置き場がない。洗濯機まわりが狭い。収納が極端に少ない。こういう部分です。
コンセントを増やすなら、リビングの隅、ベッド横、キッチンの手元は特に見直したい場所です。
大掛かりな間取り変更より、こういう小さな不便を減らす方が、実際には住みやすさにつながります。

古い実家のコンセント交換作業を行うリフォーム工事中の画像

お金をかける場所と、抑えてよい場所を分ける

収益物件リフォームで大事なのは、「全部きれいにすること」ではありません。後から直しにくい部分には、最初にお金をかけるべきです。
例えば、防水、配管、屋根、床下、水まわり。このあたりは、あとからトラブルになると費用も手間も大きくなります。
逆に、過度なデザインには無理にお金をかけなくてもいいケースが多いです。
入居者が求めているのは、おしゃれさを追求した空間よりも、「朝、気持ちよく顔が洗えること」や「夜、安心して眠れること」という、ごく普通の安心感だったりします。
高価な照明をひとつ付ける予算があるなら、その分で網戸を張り替えたり、玄関の鍵を交換したりする方が、実際には喜ばれることも多いです。
収益物件では、見た目の印象だけでなく、維持しやすさまで含めて考える必要があります。

🔍ヤマコーワンポイントアドバイス
無垢材や特殊な仕上げは、賃貸ではメンテナンス負担が大きくなることがあります。収益物件では、「長くきれいを保ちやすい素材」を選ぶ方が、結果的に管理しやすくなります。

屋根・配管・床下など見えない部分を優先したリフォーム比較イラスト

誰に貸すかで、直すべき場所は変わる

単身向けなのか。ファミリー向けなのか。戸建て賃貸なのか。誰に貸したいかで、優先順位は変わります。
例えば、戸建て賃貸の場合は、収納、駐車場、生活音を気にしなくていいこと。このあたりを重視して選ばれるケースが多いです。
逆に単身向けなら、コンパクトでも動線や設備の使いやすさの方が重要になります。「何を直すか」は、「誰に住んでもらいたいか」とセットで考える必要があります。

単身者・ファミリー・車を持つ世帯など賃貸ターゲット別の暮らしをイメージしたイラスト

工事後より、貸し始めてからの管理が効いてくる

収益物件は、工事が終われば完成ではありません。貸し始めてからの管理で、物件の印象は変わっていきます。
家賃が入ることだけでなく、管理で疲れないか、修繕のたびに慌てずに済むかまで考えておくことが大切です。
雑草を放置しない。ポストを溢れさせない。照明が切れたままにならない。
小さなことですが、その積み重ねが「ちゃんと管理されている物件」という安心感につながります。

貸した後の管理や修繕対応まで考えた空き家管理イラスト

自分でできることと、専門家に見てもらうこと

掃除や草刈り、小さな補修。そういう部分は、自分たちでできることもあります。
ただ、雨漏り、床下、防水、配管、法規制。このあたりは、見た目だけでは判断しにくい部分です。特に古い家は、見えていない部分の状態が判断を左右することが少なくありません。だからこそ、早い段階で専門家に見てもらった方が、結果的に無駄な工事を減らせるケースもあります。

自分でできる管理と専門家点検を比較したイラスト

まとめ

古い実家を収益物件として活かす場合、大切なのは単純に「きれいにすること」ではありません。
安心して暮らせること。管理されている印象があること。無理なく維持できること。そうした積み重ねが、長く選ばれる理由になります。玄関を開けた瞬間のにおい。夜に見たときの暗さ。雑草。床の沈み。そういう小さな違和感は、実は入居者が最初に感じる部分です。
貸すにしても、売るにしても、まずは今の家の状態をきちんと知ること。そこが見えてくると、どこに手を入れるべきか、どこは無理に触らなくていいかも判断しやすくなります。
最初に全部を決め切る必要はありません。まずは、「この家はどこまで活かせそうか」を整理するところから始めてみると、次の選択肢が見えやすくなります。

相続した実家の活用方法を考えるまとめイメージ画像

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取締役 山下 大輔

有限会社ヤマコー

取締役 山下 大輔

私は元大工で、大工だった父の一番弟子でした。
父の下で建築やリフォーム、マンションや店舗の改装など、さまざまな現場で経験を積みました。
その経験をもとに、店舗や戸建て住宅の建築やリフォーム、リノベーションも多く手がけております。
お客様に良い家を提供したいという想いをこれからもヤマコーで実践していきます。

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