


今回の現場は、昔ながらの和室の改修工事です。
パッと見は普通の畳の部屋なんですが、よく見ると畳の傷みや、床のへたりが出てきている状態でした。
このまま表面だけ整えることもできますが、実際に見ていると「中を触らずに仕上げるのはちょっと違うな」という判断になります。
こういう和室は、見えている部分よりも、床の中や下地の状態のほうが影響が大きいことが多いです。
今回も、解体していく中で、やっぱり中からやり直しておいてよかったな、と思う場面がいくつもありました。
見た目を整えることも大事ですが、まずはこれから先もちゃんと使える状態に戻していく工事です。ぜひご覧ください。
最初の状態は、よくある畳の和室です。
ただ、少し歩いてみると、場所によって畳の沈み方が違います。
踏んだときにスッと沈むところと、しっかりしているところが混ざっている感じです。
長く使われてきた部屋なので、畳自体も部分的に傷みが出ていて、使われ方のクセがそのまま残っている状態でした。
ただ、この状態で仕上げだけ触っても、たぶん数年後に同じ話になるな、という感覚がありました。
この時点で、「中を見にいこうか」という判断です。
畳をめくって床を見たときに、今回は割と早い段階で「やり替えやな」となりました。
下地の状態にばらつきがあって、部分的に弱っているところも確認できます。
この状態にフローリングを貼る、という選択もゼロではないですが、今回はやめています。
結果的に遠回りでも、ここで一度リセットしておく方が、絶対いいという判断です。
床だけじゃなく、収納まわりや壁も一度解体しています。
このあたりは毎回悩むところで、「使えそうやし残す?」という話にもなるんですが、今回は空間を組み直す前提だったので、思い切って外しています。
古い部分と新しい部分が混ざると、見た目よりも使いにくさで差が出てきます。
解体後の状態を見ると、最初の和室とはもう別物です。
床は一度すべてめくって、下地からやり直しています。
床を支えている大引きという骨組みのあいだに、断熱材としてスタイロ系の材料を入れて、その上から新しく床を組み直していきます。
スタイロは、かための発泡スチロールのような断熱材で、床の下から伝わる冷えをやわらげてくれます。
この工程を入れておくと、冬場に感じる足元の冷たさがはっきり変わってきます。
壁の中もこのタイミングで手を入れています。
断熱材を入れ直して、下地も組み直しています。
昔のままだと、そもそも断熱が入っていなかったり、入っていても効きが弱くなっていることが多いです。
今回は、グラスウールという繊維状の断熱材をしっかり入れて、壁としての役割をきちんと持たせています。
見た目には出てこない部分ですが、冬の寒さや夏の暑さにじわっと差が出てくるところです。
天井は元の形に戻すのではなく、ラワン合板という木の板を使って仕上げています。
表面がつるっとしすぎないので、少しラフな質感が出て、空間がやわらかくなります。
仕上げはオイル系の塗装で、木の色や風合いをそのまま活かすようにしています。
いかにも新品という感じではなく、最初からなじんでいるような落ち着いた雰囲気になります。
天井の上にも断熱材を入れているので、夏場の熱のこもり方や、冬の冷え方が少し変わってきます。
壁はビニルクロスで仕上げています。
このあたりまでくると、見た目はほぼ和室の状態に戻ってきます。
和室というと塗り壁のイメージもありますが、今回は手入れのしやすさや使い勝手を考えて、クロスで仕上げています。
実際、このほうが汚れたときの対応もしやすく、普段使いの部屋としては扱いやすいです。
現場としても、このあたりまでくると、やっと形になってきたなと一息つけるタイミングです。
今回の建具は既製品ではなく、開口に合わせてつくったオリジナルの引き戸になります。
3枚が連動して動くタイプにしているので、軽く引くだけで入口が大きく開きます。
一般的な2枚の引き違い戸だと、どうしても半分ほどしか開きませんが、今回はしっかり開け切れるため、出入りがスムーズです。
物を持ったままでも通りやすく、実際に使い始めるとこの差はけっこう感じるところです。
扉は木製で、ラワン合板を使ったフラッシュ構造という軽い扉のつくりになっています。
見た目はしっかりしていますが、動かしてみると軽く、スムーズに開け閉めできます。
仕上げは天井と揃えてオイル系にしていて、木の質感をそのまま活かしています。
引手は表に出っ張らない掘り込みタイプで、カワジュンのものを使用しています。見た目がすっきりするのと、通るときに引っかからないのもポイントです。
こういうシンプルな建具は、大きさやバランスで印象が変わるので、細かいところは意外と気を使う部分です。
完成すると、最初の和室の面影はほとんどありません。
ただ、畳の空間としての落ち着きはしっかり残しています。
今回の工事は、見た目を変えることよりも、中身を整えることを優先しています。
その分、仕上がりの安心感はかなり違います。
正直、この手の工事は途中が一番大事です。
そこをちゃんとやるかどうかで、数年後に差が出ます。
今回はそこを外さずにやれた現場でした。
私たちヤマコーでは大工を経験し、その後、現場監督・設計デザインに携わっているスタッフが在籍しております。
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