固定資産税が高くなる設備7選!リフォーム業界が本音で教える“注意すべき工事”

固定資産税が高くなる設備7選!リフォーム業界が本音で教える“注意すべき工事”

毎年届く固定資産税の通知書を見るたびに、「今年は高くなっていないかな…」「リフォームしたら税金が上がるって本当?」と不安になる方は多いのではないでしょうか。特に住宅のリフォームは金額も大きく、頻繁に行うものではないだけに税金への影響を心配される方もいらっしゃるでしょう。
しかし、インターネット上には誤解も多く、「キッチンを交換しただけで固定資産税が上がる」「トイレを最新式にすると税金が高くなる」など、正しくない情報も広がっています。しかし実際には、リフォームと固定資産税の関係はとてもシンプルで、大きく分けると「上がる工事」と「上がらない工事」が明確に分かれています。
この記事では、長年リフォームに携わってきた立場から、固定資産税が上がりやすい設備や工事、その理由、そして逆に税額が変わらない工事との違いをお伝えします。
固定資産税は“家の価値(評価額)”をもとに決まるため、どんな設備をつけるか、どこまで工事するかで大きく変わります。知らずに工事をしてしまうと、翌年から税金が増えてしまうケースもありますが、正しい知識を持って計画することで余分な負担を避けることができます。

固定資産税は“どんな設備で上がるのか”

リフォームと固定資産税の関係を理解する上でまず知っておきたいのは「建物の評価額が変わるかどうか」です。
固定資産税は、建物の価値を自治体が評価し、その金額に税率(一般的には1.4%)を掛けて計算します。
評価額が上がるケースと下がらないケースを最初に整理しておくことで、安心してリフォーム計画を立てることができるようになるでしょう。

 

固定資産税の仕組み(評価額の考え方)

固定資産税は以下の算出方法で決定します。

建物の評価額 × 1.4%(標準税率)

評価額が変わるタイミングは、新築時・増築時・大規模リフォームのときです。つまり、建物の価値が明らかに上がる工事をすると、その分だけ評価額が上がるということになります。

固定資産税と書いた写真

交換だけでは上がらない理由

「キッチン交換で税金が上がる」といった噂を耳にすることがありますが、通常の設備交換は「原状回復」と判断されるため、評価額が変わることはありません。
例えば、

・キッチンの入れ替え
・トイレ交換
・外壁塗装
・クロスの張替え
・床材の貼替え

これらは“元の状態に戻す工事”として扱われ、税負担には影響することはありません。さらに言えば、設備のグレードを同程度のものへ交換した場合も評価額が変わることはほとんどなく、見た目が新しくなっても固定資産税には影響しません。

女性があぐらをかいて座っている左右に〇×のイラストがある写真

固定資産税が高くなる設備・工事“7選”

では、具体的にどのような工事が固定資産税を上げることになるのか。リフォームの現場で実際に税額が変わったケースをもとに注意すべき7つの工事を紹介します。

①サンルーム・増築(床面積が増える工事)

固定資産税が最も上がりやすい工事は「増築」です。家の床面積が増えてしまうことで評価額が上がるため、翌年の税額が高くなってしまいます。
特に以下の工事は注意が必要です。

・サンルームの設置
・部屋の拡張
・ウォークインクローゼットの増設
・インナーガレージ

これらは床面積が増えることによって評価が上がることになり、結果として固定資産税負担の増額につながります。さらに、増築の規模が大きくなるほど評価額への影響度も高まるため、将来的な維持費や固定資産税の変化を踏まえて計画を立てることが重要です。

サンルームの写真

②高グレードキッチン(造作・大容量収納)

キッチンを交換するだけでは評価額は変わりません。しかし、造作キッチンや特注家具付きの高グレード設備を導入した場合は注意が必要です。
特に、

・家具と一体化した造作キッチン
・大型の造作カップボード
・ビルトイン家電を多数組み込んだ設計

これらは「建物と一体の設備」と判断されることが多く、評価額が上がってしまいます。さらに、造作部分が大きくなるほど住宅全体の付加価値が高いと見なされるため、固定資産税への影響も大きくなりますので注意しましょう。

高グレードキッチンの写真

③浴室の拡張・大型ユニットバスの導入

浴室を広くする工事や、1.25坪以上の大型ユニットバスを導入する場合、床面積・設備価値が上昇し評価額が変わる可能性があります。
浴室は“生活設備の中心”として評価されるため、面積が増えるだけでも税負担に影響するため注意しましょう。また、浴室は構造的な防水層や断熱材の補強が必要となるケースが多く、こうした付随工事によって建物全体の価値が向上すると判断されることもあります。

浴室の写真

④窓交換で断熱性能アップ

窓の交換は原則として評価に影響しませんが、以下の場合は注意が必要です。

・トリプルガラス+大型サッシへの変更
・開口部の拡張
・開口形状の変更を伴う工事

窓の面積が大きくなったり、構造部分に手を加えた場合は評価額に反映されることがあります。特に開口部の拡大は構造の補強を伴うことが多いため、建物全体の評価が底上げされやすく、結果として固定資産税の負担増につながる可能性があります。

リビングの写真

⑤太陽光パネル

太陽光パネルは自治体によって扱いが異なりますが、屋根と一体化するタイプは“家の付加価値”として多くの自治体が評価を上げることがあります。さらに3kW以上の設備も税額に影響することがあります。
特に注意が必要な設備は、

・屋根材一体型の太陽光パネル
・大規模な太陽光システム

これら2点の太陽光発電システムは“設備の価値”として評価に含まれることが多いため注意しましょう。

太陽光パネルの写真

⑥ 造作家具・造作収納(建物への固定が理由)

床や壁に固定される造作家具は、“建物と一体の設備”と判断されます。
例えば、

・造作テレビボード
・造作ワークスペース
・造作本棚
・造作パントリー収納

こうした工事は“住宅設備そのものの価値を押し上げる要素”として高く評価されます。また、造作家具は取り外しが難しいため建物の一部とみなされやすく、その分だけ資産価値が高いと判断される傾向にあります。

ソファーが置いてあるリビングの写真

⑦インナーガレージ化・車庫の増設

屋外カーポートは基本的に課税対象外ですが、インナーガレージや車庫の増築は“床面積”として評価されます。
車庫部分は、構造によっては居室よりも低い評価で計算されますが、それでも床面積が増える分、税額は上がります。さらに、車庫はコンクリート基礎や外壁材の強度が必要となるため、その結果として建物全体の評価額が上がり、固定資産税への影響が大きくなります。

インナーガレージの写真

固定資産税が“上がらない工事”との違い

これまでお伝えしました『固定資産税が上がる工事』を知った上で、「税額に影響しないリフォーム工事」について見ていきましょう。

交換工事は基本的に税額に影響なし

・キッチン交換
・トイレ交換
・洗面台交換
・外壁塗装
・屋根の補修や葺き替え(構造を変えない範囲)
・給湯器交換

これらは“元の性能を維持する工事”として扱われ、評価額は変わりません。見た目が大きく変わる場合でも、構造や床面積、住宅設備そのものの価値が上がらなければ税額には影響しないため安心して進められる工事と言えるでしょう。
また、日常的なメンテナンスの一環として行う作業も同様に課税対象外となるため、気になる部分をその都度整えることで快適性を保ちながら税負担を増やさずにすむ点も大きなメリットです。

キッチンの写真

内部の修繕・補修も課税対象外

クロス張替えや床の貼り替え、建具交換といった工事も固定資産税の評価には反映されません。これらは“住宅の価値を上げる工事”ではなく、あくまで“現状の維持・改善”として扱われるためです。
老朽化した部分を整えることは快適性を高める上でも重要ですが、税額の心配をする必要はありませんので安心して計画を進めていきましょう。

キッチンの写真

固定資産税を上げないための工事の進め方

固定資産税の税額が上がるかどうかについては、これからリフォームを検討されている方にとってとても気になるポイントとなるでしょう。しかし、ポイントを押さえて進めていくことで不要な税負担を避けることができます。
ここでは、固定資産税を上げないために意識しておきたい工事の進め方を紹介します。

見積段階で「評価に影響する工事か」を確認する

増築や造作家具、浴室拡張などは税額が変わる可能性があるため、見積段階で「これは評価額に影響しますか?」と確認すると良いでしょう。経験が豊富な工務店・リフォーム会社はその判断ができるため、事前相談をすることによって“想定外の税負担”を防ぐことができます。

固定資産税と書いた写真

申請が必要な工事を把握する

増築や用途変更には自治体への申請が必要な場合があります。申請漏れがあると、後から指摘されて追加徴収されることがあるため要注意です。さらに、自治体ごとに必要書類や審査基準が異なるため、早めに確認してトラブルにならないようにしましょう。
信頼できるリフォーム会社と連携し、必要な手続きを正しく進めることが大切です。

申請と書いた紙とパソコンの写真

補助金や減税制度を活用し、総負担を抑える

耐震・省エネ・バリアフリーなどのリフォームには、減税制度や補助金が設けられていることがあります。これは固定資産税が一時的に上がったとしても、補助金の利用によって実質負担が減るということです。さらに、工事の内容によっては、将来の維持管理費や光熱費削減効果という長期的なメリットが増すこともあります。
工事内容によっては、税負担よりもメリットが大きくなることもあるため、総合的に判断してリフォーム計画を立てましょう。

補助金と書いた写真

固定資産税が下がる可能性があるリフォーム

『そんなことがあるのか?』と意外に思われるかもしれませんが、実はリフォームの内容によって固定資産税が“下がる”ケースも存在します。
これにより住宅の評価が適正に見直されることで固定資産税の負担が一定期間軽減される仕組みになっています。
ここではその具体的なリフォーム内容をご紹介します。

耐震リフォーム

一定の基準を満たす耐震改修を行った場合、固定資産税の減額措置を受けることができます。
住宅の安全性を高めながら税負担も軽減できるため、古い住宅では特に検討したいリフォームです。また、耐震工事は地震による被害リスクを大幅に下げる効果もあるため、資産保全の観点から見ても非常に価値の高い取り組みと言えるでしょう。

耐震リフォームの説明をしている家のイラスト

省エネリフォーム

窓の断熱性能向上や高効率給湯器の導入など、省エネ改修の一部は減税制度の対象となります。
評価額自体は変わらなくても、減税により一定期間固定資産税が安くなる場合があります。さらに、省エネ性能が向上することで光熱費の削減につながり、長期的な家計の負担軽減にも貢献することになります。
制度によっては複数年にわたり減税が適用されることもあり、経済的なメリットをより大きく感じることができるでしょう。

省エネと書いた写真

バリアフリー改修

手すり設置や段差解消などのバリアフリー工事も減税制度の対象となります。これは高齢者だけでなく、家族全員が安心して暮らすことのできる住まいづくりにつながるため大きなメリットと言えるでしょう。
また、将来的な介護負担の軽減にもつながるため、費用以上の価値が生むことができるでしょう。住まいの質を高めながら税負担を抑えられる工事として注目されています。

フラットなバリアフリーのリビングの写真

まとめ

固定資産税が高くなる工事は、主に「増築」「造作」「大型設備」の3つです。それ以外の多くの工事は評価額に影響しないため、過度に心配する必要はありません。ただし、床面積が増える工事や造作家具の導入は税額が変わる可能性があるため、事前に信頼できる建築会社へ相談しましょう。
また、耐震・省エネ・バリアフリーなどに使える、税負担を軽減できる制度は豊富に用意されているため、うまく活用することで総費用を抑えることができます。
固定資産税は複雑に見えますが、ポイントさえ押さえることができれば怖くものではありません。これからリフォームを検討される方は、正しい知識を持ちながら、ご家庭に合った工事を進めてみてください。

まとめとかいた電球が閃いている写真

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取締役 山下 大輔

有限会社ヤマコー

取締役 山下 大輔

私は元大工で、大工だった父の一番弟子でした。
父の下で建築やリフォーム、マンションや店舗の改装など、さまざまな現場で経験を積みました。
その経験をもとに、店舗や戸建て住宅の建築やリフォーム、リノベーションも多く手がけております。
お客様に良い家を提供したいという想いをこれからもヤマコーで実践していきます。

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