- 現場レポート
今回は、倉庫改修工事の最終回です。
ここまで、解体工事から軽量鉄骨(LGS)の施工、断熱材の充填、サッシ・建具の取付、電気配線や配管工事までをご紹介してきました。
骨組みや設備工事が完了すると、いよいよ建物の印象を大きく左右する「仕上げ」の工程へ進みます。壁や天井に石膏ボードを張り、パテ処理やクロス施工を経て、最後は床を仕上げていくことで、工事現場だった空間は一気に建物らしい姿へ変わっていきます。
完成した建物を見ると、真っ白な壁やきれいな床に目が向きますが、その仕上がりは一つひとつの工程を丁寧に積み重ねた結果です。今回は、内装が完成するまでの流れと、職人さんがどんなことを考えながら施工しているのかをご紹介します。
ここからご覧になった方は、工事の前半をまとめた前回の記事もあわせてご覧ください。
👉【関連記事】倉庫改修工事①|解体・軽天(LGS)・断熱工事まで|空間づくりは土台から始まります
👉【関連記事】倉庫改修工事②|サッシ・電気配線・配管工事まで|設備工事が建物の使いやすさを決めます
石膏ボードは住宅や店舗、事務所など、多くの建物で使用されている内装材です。
「隙間なく張る必要があるの?」と思われるかもしれません。実は石膏ボードは、壁を作るためだけの材料ではありません。
壁の強度や遮音性、防火性能にも関わるため、ボード同士の継ぎ目やビスの位置まで考えながら施工しています。
また、継ぎ目が一直線に並ばないよう配置することで、壁全体の強度が高まり、将来的なひび割れも起こりにくくなります。一枚ずつ順番に張っているように見えて、実は配置にも理由があります。
石膏ボードを張り終えると、継ぎ目やビス穴へパテを施工します。
「どうせクロスを貼るなら、この工程はいらないのでは?」と思われることがあります。
しかし、クロスは思っている以上に薄い材料です。もしパテ処理をしなければ、ビス頭やボードの継ぎ目がそのまま浮き出てしまいます。
また、パテは一度塗れば終わりではありません。乾燥させたあとに研磨し、必要に応じて再度パテを施工します。この作業を繰り返すことで、光が当たっても凹凸が目立ちにくい壁へ仕上がります。壁の美しさはクロスだけではなく、この下地づくりによって大きく左右されます。
下地が整うと、壁紙(クロス)を施工します。
施工前には床や建具をしっかり養生し、糊や工具で周囲を汚さないよう準備を行います。クロスに使用する糊は、市販の文房具用の糊とはまったく異なり、現在ではでんぷんを主成分とした専用糊が多く使用されています。施工中は位置の調整がしやすく、乾燥後にはしっかり接着するようにつくられています。
今回採用したのは、シンプルな白色のクロスです。「なぜ白が多いの?」という疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。
白いクロスは照明や自然光を反射しやすく、空間全体を明るく見せる効果があります。また、荷物や設備を配置した際にも空間が圧迫されにくく、将来的なレイアウト変更にも合わせやすいことから、倉庫や事務所では特に採用されることが多い色です。
また、「倉庫なら塗装仕上げでもいいのでは?」と思われるかもしれません。
もちろん塗装仕上げという選択肢もありますが、クロスは施工後の見た目が均一で、軽微な汚れや下地の補修跡も目立ちにくいという特徴があります。さらに、将来的に部分的な貼り替えや補修もしやすく、メンテナンス性にも優れています。
一見シンプルな白い壁ですが、空間の使いやすさや維持管理まで考えて材料を選定しています。
クロス工事が完了すると、照明器具やシーリングファンを取り付けていきます。
照明は「付けばよい」というものではありません。
倉庫や作業スペースでは荷物の出し入れや細かな作業も多いため、明るさだけでなく、光が均一に広がる配置も重要になります。
また、今回設置したシーリングファンは、室内の空気をゆるやかに循環させる役割があります。
暖かい空気は天井付近へ、冷たい空気は床付近へたまりやすくなりますが、シーリングファンによって空気を循環させることで温度ムラを抑え、冷暖房効率の向上も期待できます。天井の高い倉庫だからこそ、その効果を発揮しやすい設備の一つです。
クロス施工が終わると、建具の最終調整を行います。
建具は取り付けた時点で終わりではありません。クロスの厚みや仕上げ材が加わることで、扉と枠の隙間がわずかに変わることがあります。そのため最後に建付けを確認し、扉の開閉や隙間の均一さを細かく調整していきます。職人さんが特に気を配るのは、「軽く閉まること」と「自然に止まること」です。毎日使う建具だからこそ、最後まで丁寧に調整しています。
壁や天井の工事が終わると、床塗装の前に床全体を洗浄します。
「掃除するだけ?」と思われるかもしれませんが、この工程は床塗装の仕上がりを左右する重要な作業です。長年使用されたコンクリート床には、ホコリだけでなく油分や細かな汚れが付着しています。現場では床の状態に応じて、専用の洗浄剤や機械を使用しながら下地を整えていきます。洗浄力は家庭用洗剤より強いものもありますが、その分取り扱いにも注意が必要です。汚れをしっかり除去することで、塗料がコンクリートへ密着しやすくなり、剥がれにくい床へ仕上がります。
床塗装は「塗る前」がとても大切な工程なのです。
洗浄が終わると、床を塗装していきます。
今回使用したのは、工場や倉庫などでも多く採用されている耐久性の高い床用塗料です。床塗装には見た目をきれいにするだけではなく、コンクリート表面を保護する役割があります。塗装することでホコリが発生しにくくなり、清掃もしやすくなります。
また、フォークリフトや台車などが行き来する場所では、コンクリートの摩耗を抑える効果も期待できます。塗りたては光沢がありますが、乾燥が進むにつれて落ち着いた質感になり、倉庫らしい機能性と美観を兼ね備えた床へ仕上がりました。
すべての工程が完了しました。
改修前と比べると、室内は明るく、より使いやすい空間へ生まれ変わりました。
完成した建物だけを見るとシンプルに感じるかもしれませんが、その裏側では、
・解体工事
・軽量鉄骨(LGS)の施工
・建具まわりの補強
・断熱材施工
・サッシや設備工事
・配管工事
・石膏ボード施工
・パテ処理
・クロス施工
・照明・シーリングファン取付
・床塗装
と、多くの職人さんが工程ごとにバトンをつなぎながら、一つの空間をつくり上げています。
建物は一つの職種だけでは完成しません。それぞれの専門職が前の工程を受け継ぎながら、次の工程へつないでいくことで、初めて完成します。
今回の現場レポートを通して、普段なかなか目にすることのない改修工事の流れを、少しでも身近に感じていただければ嬉しく思います。
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